タグ: 物語
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21.コンピュータの歴史
遺跡に残されたバロウ博士の研究の成果は興味深いものであったが、研究の行き詰まりを感じさせるものでもあった。人間の脳の結線情報を複製すれば、相応の結果は得られるだろう。だが、中身が理解できないので、それ以上の進歩は難しそ […]
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20.風呂場での語らい
遺跡から戻った後、ヘスペロスは持ち帰った研究資料に目を通していた。 それは今までに入手した資料の中で、最も複雑で高度な内容であった。研究内容は多岐にわたるが、主要なテーマは大規模なニューラルネットワークの処理速度を高め […]
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19.残されたもの
エスカレーターはガラス張りの小さな部屋に繋がっていた。四方の壁がすべてガラスで作られており、壁の向こうには沢山の棚が見えた。棚は見えているだけでも20台以上もあり、それぞれの棚には旧式のコンピューターのような装置が本の […]
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18.朝のアリシア
朝の微睡の中、腕の中にアリシアの温もりを感じていた。 絹のように滑らかな肌と、優しく甘い匂いが心地良い。 アリシアはもう目覚めているのか、時折、唇や首筋にキスしているようだ。だがヘスペロスは、まだ半ば夢の中にいて、それ […]
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17.新しい手法
ヘスペロスは荒野の遺跡から持ち帰った研究資料「ディープラーニングと物語のモデル」を読み進めていた。 これまでの実験では、RNNを利用した単純な方法から始め、RNN Encoder-Decoder with Atten […]
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16.研修
ロマナの仕立屋で二人の服を誂えて貰い、その服を着てイリスを引き取りに行った。 ロマナはアーデラング王国の首都で、イリスが売られていた屋敷はこの街にある。商店街にも活気があり、イリスの実家のあるレスリアはこの街の西隣に位 […]
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15.市場にて
先日身請けしたイリスとは、定期的に連絡を取っている。 今のところ、イリスの部屋には「扉」で直接訪れている。現地の服が無く、イリス達のお古の服を貰ったが、それで家族に会う訳にもいかない。 イリスには、折を見てこちらの世 […]
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14.侍女
イリスを実家に戻した後、ヘスペロスはアリシアの家に向かった。 仕事が残っている時を除いて、夜はいつも一緒に過ごしている。特に今日はイリスの事で相談しなければならない。 玄関で裸のアリシアに出迎えられて、そのまま食堂 […]
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13.イリスの実家
イリスの実家に着いた時、辺りはすっかり暗くなっていた。 街灯が無いのでぼんやりとしか見えないが、ここは商店街のようで、道の両側に店が張り付くように並んでいる。 目の前のイリスの家は、煉瓦造りのこじんまりとした店で、住居 […]
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12.売れ残りの娘
ヘスペロスは「窓」を開いてその街を見ていた。 活気のある中世のような街並みで、街の名前はロマナ。 アーデラング王国の首都で、アリシアの暮らしていたシルフレシア王国の首都、ラメールから遥か南に位置している。 ヘスペ […]