タグ: 物語

  • 11.数学の思い出

    11.数学の思い出

     RNNというニューラルネットワークを利用した文章生成は、あまり興味深いものではなかった。だが、これは、荒野の遺跡で入手した研究資料「ディープラーニングと物語のモデル」の導入部に過ぎない。  「次はこの手順を試して見るの […]

  • 10.朝食

    10.朝食

     誓いの儀式は無事に終わり、アリシアはヘスペロスの正式なオダリスクになった。こちらの世界には存在しない概念だが、一番近いのは妻だろう。どちらにしても、異なる種族の二人の間には、法も制度も関係はない。心の繋がりがすべてなの […]

  • 9.誓いの儀式

    9.誓いの儀式

     部屋の前ではアリシアが跪いていた。 祈るように両手を組んで俯いている。 ヘスペロスが前に立つとアリシアは顔を上げた。緊張しているのか、少し潤んだ碧い瞳が不安そうに揺れている。 ヘスペロスは操られたように左手を差し出した […]

  • 8.風呂

    8.風呂

     二人で入浴する事になり、浴室の脱衣所に入った。 いつも通りに自分で服を脱ごうとすると、アリシアにやんわりと押し止められた。寄り添うように密着して服を脱がせてくれる。  「全部任せてくださいね」  食事に引き続き、入浴も […]

  • 7.甘美な食事

    7.甘美な食事

     事前に聞いていた事ではあるが、やはり驚いた。 夕食の準備が出来たので、アリシアの部屋のドアをノックした。ドアが開いて現れたのは、美しい裸の女だった。 柔らかな光を帯びた月光色の髪と、宝石のように澄んだ碧い瞳。均整の取れ […]

  • 6.住居

    6.住居

     遺跡で入手した資料の冒頭に記載されていたのは「システム環境」。 当然ではあるが、遺跡で入手したコンピュータ上では、既に構築済みであった。 後はソースコードを入手して実行するだけだが、それらしきファイルを見つける事が出来 […]

  • 5.遺跡の資料

    5.遺跡の資料

     ヘスペロスとアリシアは研究室に戻ってきた。 研究施設跡から持ってきたのは、旧式のコンピュータといくつかの研究資料。 ヘスペロスは好奇心を抑えられず、早速このコンピュータを起動させる事にした。コンピュータを入手したのは初 […]

  • 4.遺跡

    4.遺跡

     ヘスペロスはアリシアを連れて近所の公園に来ていた。 庭園風に整えられた美しい公園で、過去の戦争で荒廃したこの世界では、自然が残る貴重な場所だ。ヘスペロス達の「都市」の中では、最も人気のある場所の一つだろう。  「私の住 […]

  • 3.自宅

    3.自宅

     「ここはお屋敷の書斎なのでしょうか?」  裸のアリシアに服を着せようとしたのだが、何故かすぐに着ようとはしなかった。 アリシアはシルフレシア国王に仕えるオダリスクだが、後宮のオダリスク達は、いつでも主人を受け入れられる […]

  • 2.プロローグ

    2.プロローグ

     ヘスペロスは「窓」を通してその世界を見ていた。  壮麗な城を中心に抱く活気のある城下町。周りを取り囲むようにして広がる農村。さらに遠方には、美しく壮大な山脈が連なっている。 豊かな自然に囲まれた人々の暮らしは牧歌的で、 […]